♪jugpot falls

作:126

辺りは青空だった。 
空を背景に、目の前を滝が流れ落ちている。見上げるとその先は雲に隠れてはるか空まで続いている。 
もしあれが合成用のブルーバックではなかったなら。 
撮影が実際の景色や3DのCGを背景にして行われたなら、被写体の千早からはこんな景色を見ることもできただろう。 
千早の背には、どんな空よりも蒼い2枚の翼。 
その翼は、今飛び立たんばかりに、大きく、力強く羽ばたこうとしている。 
遠くには透明な湖が見える。 
涼しげな水の輝きと、湖を包む緑が色鮮やかなコントラストを描いている。 
それが千早と春香のデビューシングルのジャケット写真だった。 
千早は高く遠い空を見据えて、一人翼を広げている。 
写真の中で、春香はそんな千早を見上げて微笑んでいる。 
4つ切りの印画紙にプリントされた写真を、千早は無造作に楽譜の束が入ったトートバッグへと放り込んだ。 
写真の風景とは違い、いま千早がいる事務所の会議室は殺風景だった。 
夕焼けで薄暗くなった部屋には、壁、折り畳み式の机、パイプ椅子。 
物音一つしない、時間が止まってしまったような室内。 
千早はトートバッグを持ち上げると、会議室から出て、扉を閉めた。 


病室の窓の外は、真っ暗だった。 
不自然なほど明るい室内が、闇の黒さと対比して真っ白に見える。 
白い病室の白いベッドの上に、白いシーツをかけられた真っ白な肌の春香がいた。 
頬にそっと触れてみる。冷たくはなかった。 
よく見れば、顔は普段より赤いくらいだ。白黒でハイコントラストな窓と室内に、目がどうかしていたのかもしれない。 
「……あれ?」 
春香が熱でうるんだ目を開けた。 
「おはよ、千早ちゃん」 
かすれた声を出しながら、春香はにっこりと笑う。 
「もう夜よ、春香」 
「あ、そっか。じゃ、こんばんは、千早ちゃん。あれ?でも私たちも一応はアイドルだから、やっぱり夜でもおはよう?」 
うーん、とぼんやりとした視線を春香は宙に這わせる。 
それから焦点の合わないうるんだ目を千早に向けて、ふっと真顔になった。 
「ごめんね」 
「……ごめん?」 
「うん。また私が、千早ちゃんの足を引っ張っちゃったね」 
「春香が、私の……足を?」 
「私、いっつも千早ちゃんに迷惑かけてばかりで……ほんとにごめんね」 
「迷惑?春香が、私に?」 
千早の問いに、答える変わりに春香は体を震わせた。 
「……寒いの?春香」 
「うん、ちょっとだけ」 
千早は何気なく春香のひたいに手を乗せた。 



「……春香、凄い熱じゃないですか!」 
「あ、うん。でも、少し熱っぽいだけだから、すぐに治るよ。
私ドジだから、湯冷めしたりしてこんなになっちゃうの、しょっちゅうだし。えへへ……」 
「なんで……」 
それに続く言葉は、うまく頭でまとまらなかった。 
『あっためてあげれば、なおるよ』 
「え?」 
混乱した千早に囁く声があった。それは全ての思考がすうっと溶けていってしまうかのような、不思議な説得力をもっていた。 
『はだかになって、あたためあえばいいんだよ』 
具体的なイメージが、千早の頭に流れ込んできていた。何をどうすればいいのか、どう反応する春香を千早はどう攻めるのか。 
「……はげしく、ですね?」 
『そう』 
まるでレッスンを受ける聞き分けの良い生徒のように、千早は頷いた。 
「……千早ちゃん?」 
熱のこもった目をしてせつなそうに荒い息をする春香を見下ろし、千早ははっと気付いたように頭を振った。 
「看護士さんを呼んできます」 
「だめだよ」 
病室の扉が開き、黒く長い髪の女の子が入ってきた。切れ長の大きな瞳は、楽しそうに笑っている。 
「誰?」 
千早の問いかけに、女の子は答えない。代わりに春香を指差して、千早に言う。 
「あっためてあげればいいんだよ」 
「暖めればって……そんなわけには!ごめんなさい、あなたの相手をしている時間はないの。春香、少し待っててね」 
「その気になれないなら、私がその気にしてあげる」 
「えっ?」 


脇をすり抜けようとした千早に、女の子はいきなり飛びついた。 
そして千早の唇を奪うと、口の中に舌を差し込んでくる。 
「ん、……むっ、んんっ!?」 
「ふふ」 
細い手で千早の首をがっちりと押さえ込み、足を宙にぶらぶらとさせたまま千早の口内を舌でめちゃくちゃにかきまわす。 
息苦しくなり、千早の目尻に涙が浮かんでくる。女の子の体重に足下がふらつき、床に倒れる。 
千早の舌を小さな舌で絡め取りながら、小さな手が千早の水色のセーターの下に忍び込んできた。 
しなやかな指先がお腹の上をはい上がり、やがて千早の胸の敏感な部分にたどり着く。 
くりくりと指先で弄びながら、女の子は千早から口を放す。 
ねっとりとした唾液が糸を引き、息苦しさにむせた千早の口へと流れ込んでいく。 
「手のひらで、ころころされるのが好きなんだったっけ?」 
子供特有のあたたかい手が、千早の両胸を転がした。 
「……くっ!」 
よだれでべちゃべちゃの口を固く結んで、千早が勢いよく体を反らした。 
「ぺったんこだけど、ほんと感度いいよね、ちーちゃん?」 
「ち、ちがう、違いますっ!」 
「ちょっと前に男の人にさわられたとき、せくはらって大騒ぎしたのも、びっくりしたからだったっけ。びくん!ってなっちゃって」 
「な、なってません!私は……私はそんな変態じゃ……!」 
「えー?でも、ちーちゃんの乳首、もうこんなにころころしてるよ?見てみる?」 
セーターをめくり上げ、ブラを取り外すと女の子は千早を壁に向かわせた。 
壁には大きな鏡があり、それが千早の姿をくっきりと映している。 
「ほーら、すっごい大きくなってるよ、ちーちゃんのおっぱい。ぺったんこだけど、ピンク色のぽっちはすっごいおっきいよ」 
「いや!やめて、やめてください!」 


「やめてやめてって言うわりに、ちーちゃん、自分でどうにかしようってしないもんねぇ。ほんとにやめてほしいの?」 
目を大きく見開いて、千早は鏡を覗き込んだ。 
水色のセーターを首までまくり上げて、いやらしく乳首をそそり立たせている自分の姿が見える。 
その千早の胸で遊んでいるのは、まだ5歳くらいの女の子でしかない。 
「どうしててーこーしないのかなぁ?ちーちゃん、ほんとはどうしてほしいの?」 
胸をいじられるたびに体をくねらせる自分の姿を見て、千早は青ざめた。 
まるで自分の体とは思えない。しかし女の子が千早に刻み込んでくる感覚は、胸の奥から頭の芯まで響いてくる。 
手を振り払えば吹き飛んでしまうような子供に、いいように体をいじられ、遊ばれている。 
そして鏡の中の千早は、それを歓んで受け入れている。むしろもっとして欲しそうに、体全体でねだっている。 
「ぃゃ……いやぁ!」 
首を振り、あふれだした涙を辺りに散らす。 
「おっぱいだけでこうだと、あそこなんていじっちゃったら、どうなっちゃうんだろ。ねえ、ちーちゃん?」 
「ぁ、くっ……!」 
無邪気な声に、大きな何かが背中を駆け抜けた。体がびくんびくんと痙攣し、頭が真っ白になって力が抜けていく。 
「あれぇ?ちーちゃん、ことばだけでイッちゃったんだ!あはは、ちーちゃん、へんたいだー!へんたいへんたいー!」 
もう口を開く気力も起きず、千早はぼんやりと前を見ていた。 
何かに押し流されて、体がどこかへ流れていくようだった。 
千早の手の中に、いつの間にか一枚の写真があった。 
青空だった。 
空を背景に滝が流れている。写真の中では、春香が千早に微笑んでいた。 
写真から顔を上げると、辺りは夕闇だった。薄暗い部屋には、折り畳み式の机とパイプ椅子。 
千早は無造作に写真をトートバッグへと放り込んだ。 
トートバッグを持ち上げて、うつろな視線のまま会議室の扉へ向かう。 
バッグの中で無惨に折れ曲がっている写真には気も留めずに、千早は会議室の扉を開けて、そして閉めた。 



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