0:02am

作:名無し

 それは、暦の上では春になっていたけれども、寒さもまだまだ肌に染みる時のことだった。 

 とある、温泉で少しは名を知られている地方都市のホールに近い小奇麗なシティホテルの洋室。 
 若い男性が、ホテルに備え付けの小さな丸テーブルに、なにやら紙の書類を、テーブルの表面が眼に入らないほどに拡げて、あれを見、これに書き込み、と、眉間に皺を寄せつつも何かに取り組んでいる。 
 そこには、コンサートステージのレイアウトらしき図面にはじまって、演出や効果のタイムテーブル、そこで歌って踊る主役の衣装のデザインや人物の話し方、立ち居振る舞い。 
 それだけに飽き足らず、人目を引くだけでなく強く印象付けるための多種多彩な仕掛けの案が、所狭しと散らばっていた。 

 「ううん…幾らやってもやりきれない、な」 

 初めてとなる規模での全国ツアーコンサートの真っ只中。もう何度も本番を繰り返していて、客の反応もかなりよい感触だ。それだというのに、幾らでも彼には反省するところがある。 
 やりきれていないこと、もっといいもの、もっと素晴らしい仕掛け、そんなことを考えているととても彼の意欲は尽きず、そして同時に後悔もまた尽きはしない。 

 「もっと、どうにかならないか…いいものにならないものかな…」 

 彼はいつもそう思う。自分にとって、面倒を見ている、というよりも、見させてもらっているという意識の方が強い、彼にとって大事な存在。 
 出会って初めのころこそ、仕事だから、給料分の仕事はそれなりに誠実に、などという意識だけでやっていたはずの仕事だったのに。 
 その仕事の対象でしかない相手と触れ合ううちに、初めの頃の意識とはかけ離れたものになってしまっていることに気付いて、思わず苦笑してしまう。 

 「…ふうう、ああ、後もう少しだけ!もう少しだけ検討だ、それで終わりにしよう。」 

 もうそろそろ日付が変わりそうだ。衣装やステージはもういい。それよりも彼女自身の魅力をどう伝えるか、何を訴えるかだ。一つここは原点に立ち返って、それだけに集中して―――。 

 と、その時。 
 仕事に夢中になっていた彼の背後で、女性の小さな声がした。 
 「…あの…プロデューサーさん…?」 
 「うあぁっ?」 
 テーブルの上の書類や資料にだけ集中しきっていた彼が、喉の裏から出すような頓狂な声を上げる。 
 「わあっ…ふううー、びっくりしましたー…。」 
 「な、なんだ、あずささん…じゃないですか。私もびっくりしましたよ、どうかしましたか、こんな遅くに」 
 彼の言葉は少し他人行儀という成分を含んでいるかのように思えた。 
 あずさ、と彼が呼んだ女性よりも、少し年上の彼の言葉は、こんな夜更けにホテルの一室に一人で訪ねてきたような女性に対するものとしては、少しよそよそしいものを感じさせる。 
 そのよそよそしさを感じ取ったのか、ふっくらとした柔らかい印象の彼女は、その言葉を聞くと、少しだけ、端正な眉を動かした。 
 「あ、いえ、すみません…こんな遅くにお邪魔しまして…」 
 女性にしては長身で、それでいてふくよかな身体の、いい匂いがする彼女が丁寧にお辞儀をする。 
 彼女は彼に、不意の訪問で驚かせたことを申し訳無さそうに何度も謝ると、ふう、と一息大きな溜息をついて、彼に勧められたテーブルの側の椅子に腰掛けた。 

 暖かい、湯気の残りが清浄な芳香を含んだ空気が、彼女から柔らかく発せられて辺りに漂う。 
 その香りを感じた彼が、自分を落ち着かせるかのように、一瞬、彼の胸に手を当てる。 

 「どうしましたか、あずささん。お疲れではありませんか?そろそろツアーも半ば、疲労も溜まっていると思いますから、温泉に入った後は、ゆっくりおやすみになった方がいいですよ」 
 「―――はぁー…。はい…。温泉は、とても気持ちが良かったです…よ。」 
 彼女は長い髪を少しだけ揺らしながら、やや夢見心地のようにも見える表情のまま。 
 彼とは視線を合わせず、暗い窓の外にわずかにまたたくネオンの光を見つめながら、そう呟いた。 
 ―――が。 

 彼女が彼に向き直る。 
 いつもはおっとりした、のんびりした瞳を持っている彼女が、真剣なまなざしを彼に向けた。 

 「…。ひとつ、お伺いしていいですか。」 
 「―――なんでしょう?」 
 いつもとは違う彼女の視線。 
 彼自身、かつてはその、彼女の普通の視線を、緊張感のない、ふわふわと浮いたままで年の重みを感じさせないような、苦手な物として感じたこともあったようなこともあった。だからこそ彼は、かつては彼女を仕事の対象として見ていたに過ぎなかった。 
 が、ここ最近、彼女の柔らかい視線の中にも、一本筋の通った大人びた物を感じるようになるにつれて、彼の彼女に対する姿勢も変わってきている。 
 が、今の彼女は、違った。その、どれとも違った。雲のようにふわふわと漂っているような存在でもなく、仕事に対して筋を通す意思を持つ存在でもなく。 

 はかなげな一人の女性。 

 「わたし―――もう、歌えません―――。」 

 どうして、という言葉を思わず彼は飲み込んだ。そしてただ、じっと彼女の黒い瞳を見つめ続ける。 
 彼女が言葉を続けた。 

 「どうしてわたしはこんなことをしているんだろう、って最近いつも思います。 
 夜に一人で、暗い窓を一人で見ていると、つう、って涙が出てくることもあって。 
 歌は、辛いです。そう思うことだってあるんです。 
 何度も何度もそれを繰り返していると、いつの間にか慣れてしまうように感じられることもあって――― 
 でも―――。」 

 彼女が、端正な喉を動かして、こくりと息を飲み込んだ。 

 「あの…」 
 「はい。何ですか―――あずささん。」 
 「―――。 
 何故―――いえ、いつから、プロデューサーさんは、わたしをそんなふうに呼ぶようになったんでしょう―――ね。」 
 「そうって?」 
 「覚えていらっしゃいませんか。 
 初めは普通に、あずささん、って呼んでくれていました。親しみを込めてくれているようにも思えました。 
 でも―――また、いつの間にか―――それが、他人っぽく感じられるようになったんです。 
 それが、いつからそうなったんでしょうか―――っていうことですよ。 
 いつの、こと、でしょうね…。」 
 「…。」 

 いつのことだっただろうと問われて、彼は思わずはっとなる。 
 わからない、覚えていないと咄嗟に言えて流せるほど、それは軽い記憶ではなくて。 
 何故ならそれは、彼にとって、深い意識を伴うものだったから。 
 でも、それをありのままに言う事は、彼にとってはできないことで。 

 「わたしは覚えていますよ。あれは、一つの山を越えた時です。 
 でもそれは、CDが一杯売れてとか、大きな会場でコンサートを成功させて…という時ではなかったんです。 
 小さな、小さなライブハウスで、ようやくちょっとだけ、成功したとき。一人で歌いきれたとき。あの時です。 
 一生懸命やったことが、ようやく少しだけうまく行って。駆け出しの頃、何もわからずに夢中でやっていて、ただそれだけのとき。 
 それは、本当に小さな出来事だったかもしれませんけど、わたしにとっては、一つの大きな山を越えたっていう実感が持てた、そんな時でした。 
 わたし、それまでは、こういうお仕事に進んだ事、心の中ではまだまだわだかまりを持っていて。 
 どうしてこんなことをしているんだろう、って思っていて。 
 でも、あの時―――あれで吹っ切れて。 

 でも―――あの小さな会場から出た時から、あなたは――― 
 わたしを、違う声で呼ぶようになっていたんです。」 

 それは、彼にとっても深い記憶。 
 仕事が仕事でなくなった瞬間の。 

 初めは、他人と仕事での繋がり。 
 だから丁寧に、他人として。 

 少し親しくなったなら、深く考えることもなく、深く考えない付き合いを。 
 ドライで乾いたというよりも、意識のない関係を。 
 深く考えずにいられなくなる日まで。 

 「他人ですか。わたしは。 
 仕事を離れたら、わたしは他人ですか、プロデューサーさんから見たら。」 

 彼女の眼が色濃くなる。 

 「仕事としては、熱心にわたしを見ていてくれるのは、とてもよくわかるんです。 
 でも―――最近は、それだからこそ、辛いんです。 
 一生懸命にわたしにしてくれるあなたが、仕事でしかそうしてくれないのかな、って考えてしまうわたしは―――ふしだらですか。 
 不真面目ですか。やっぱり、プロとしての意識が足りないですか。」 

 伏目がちになった彼女の肩が、僅かに震えている。 

 小さな声で、しかしはっきりとあずさの耳に通る声で、彼が言った。 
 「…ずっと、憧れていたんですよ…」 
 「え…?」 
 「あずささんに、ですよ。」 

 眼を閉じて彼がそう繰り返す。 
 その唐突な告白に、どんな意味があるのかをはかりかねているような表情で、女性が問い直す。 

 「さっき、あずささんが言った、あの時です。 
 いえ。多分ね。私だけじゃないんです。あの瞬間、あの時、あなたという女性は、ただのアイドルではなくて、ひとり立ちしたんだろう、って私は思うんです。だって、あそこにいたお客さんたちだけじゃないんですよ、何よりも私があなたの振る舞いを良いものだと思ったから。 
 その空気を、私が一番感じていたんですよ。」 
 「…」 
 「私は―――あなたと一緒にならやっていけると思ったから。 
 だから―――あなたの、第一のファンになって、そのために頑張ろうと。」 

 彼女のいないところで、どれだけ彼女のことを想っていたか。 
 それは、あずさに想像できることでもなく。 

 「そ、そんな、何を言うんですか… 
 わたし、そんな、そこまで―――。」 
 「本気です―――でも、あなただって、私をずっと、他人のように呼んでいたじゃありませんか。 
 いえ、私はそれでいいと思った。私があなたと初めて出会ったとき、あなたをどう思ったかわかりますか? 
 何て頼りない、世間知らずのお嬢さんだろう、年相応と言う言葉が似合わないひとだ、箱入りとはこのことか、それともそれ以外なのか、などとも思ったぐらい…なんですよ? 
 それが、その頼りないお嬢さんが―――輝いて見えた。 
 すっと一人、背筋を伸ばして皆の前に立ち、自分の持てるものを一生懸命に表現して。 
 その姿勢が、あなたの姿が、そして瞳が、輝いて見えたんです。 
 だから、私はそのときから…あなたにとっての、随一の協力者であろうと思ったんですよ。」 
 「そんな―――。」 

 告白を続けながら、彼が彼女の柔らかい手をそっと取る。 
 唐突な告白に戸惑いを隠せないまま、手を握って迫ってくる男性を避けるように、女性がふくよかな上体を後に反らす。 
 長い髪が揺らいで、湯の残り香が辺りに漂う。 
 すると、その背中を抱きとめて逃がさぬように腕を回し、彼女の両肩を抱きかかえて、彼がしっかりと支えて抱き締める。 

 「疲れましたか…? 
 なら、無理をする事なんてないんです。あなたが精一杯やったのなら、いつ辞めたっていいんです。 
 でも―――一つだけ教えて下さい。 
 あなたの気持ちを弱らせたのは、何ですか。 
 私の―――せいですか?私が冷たくしたせいですか?そう、誤解させてしまったせいですか?」 

 思いの込められた言葉。冷たいなんて、到底言えない熱い言葉。 

 言葉が出ない。 
 言葉にすることができるはずもない。 

 「私は―――私は、仕事が終わって、一人になって。酔っ払ってしまったら、それこそいつも。 
 あなたのことを思い出しては、たまらなくなって。一晩中眠れなかったことだってあるぐらいで。 
 あなたがもう、本当にたまらなく、私にとって大事な人で。 

 仕事の対象だからじゃない、自分の責任を果たす相手だからじゃない。 
 好きで、大事で、愛して。当然口説いたって振られるだろうって思えても、それでもたまらなく好きってこと、だったんですよ?」 
 「そんな、そんなこと…嘘です、そんな、突然そんな…」 
 「いいんです。なんだっていいんです。でもそれぐらい、私にとって大事だったのが、あなたなんです。あずささん。あなたなんですよ。 
 だから…どうして…どうしてなのか、教えて下さい。それだけは教えて下さい。 
 私のせいなら、改めます。不足があって、物足りないなら改善します。 
 だから―――そんなこと言わないで。歌えないだなんて言わないで。 

 やり尽くした、もう悔いはない、ならいいんです。 
 でも―――お願いです。そんな悲しい顔をしないで下さい。 
 それだけは、私は絶対に嫌なんです。 
 あなたがこの仕事を辞める時は、にっこり笑って微笑んで、手を振って終わりにしようって思っていたんですから――― 
 だから―――不満があるなら、どうか―――」 

 まっすぐな、素直な思いが彼女を包み込む。 
 その思いが、彼女の身体を強張らせていたものを溶かして慈しむ。 
 「え、その、そんな…そんなことは思ってもないです、わたしは…」 
 「本当…ですか?」 
 「本当です…。 
 わたしは…ただ…寂しかった―――だけなんです…」 

 手を握られ、逃げ場のないように肩と身体を抱かれたまま、真剣な面持ちで告げられる異性の心情の吐露に、彼女の頬がほのかに赤らんでくる。 

 「寂しかった…?」 
 「はい…プロデューサーさんが…わたしに、壁を作っているように思えて…。」 
 「そんな…そんなことはないです…。でも―――守らなければならないことは、守らないと、って…そう、思っていて…」 

 彼女の手を握る彼の手の力が、更に強くなる。 

 「守って、くれていました。ううん、わたしこそ―――気付かないで―――馬鹿なことを言って… 
 ごめんなさい―――。 
 でも―――わたしは、あなたに―――偶像としてではなく、三浦あずさ、を見ていて欲しかったんです―――」 

 豊かな髪をたたえた彼女の頭が、彼の胸に倒れこむ。 
 それと同時に、彼女の背中に回された二本の腕が、強く彼女を抱き締める。 


 あずさの身体は、広いベッドの上に、投げ出されるように寝かせられた。 
 ベッドが軋んで上下する。 


 あずさの柔らかい身体の上で、彼が彼女を見下ろしている。 

 「そんなことを言って…あずさ…? 
 俺が、どれだけ我慢してきたか、知ってるのかい?」 

 留め金が外れた声と腕の力で、あずさの身体を組み伏せる。 

 「…あなただって…そんなことを言って…。 
 わたしが、どれだけ我慢してきたと思っているんですか…?」 

 彼を見上げるあずさが、泣き出しそうにも見える声で、必死に抗うような素振りを見せる。 

 「知りません。そんなの。 
 俺のほうが、我慢してきたんだから。ずっとずっと、我慢してきたんだ。 
 あずささんの方が、俺の気持ち、わかっていないんだ」 
 あずさを押し倒す腕の力が強くなる。 
 「やあっ、何をするんですか、そんな、いきなり…」 
 柔らかいベッドの上寝かせられ、豊満な身体の上に圧し掛かられた彼女が、困惑したまま小さな声で抵抗する。 
 そんな彼女に覆い被さるように抱き包んだ彼が、あずさの耳元で囁く。 
 「本当に嫌なんですか、あずささん。本当に嫌なんですか…? 
 そんなことを言われたって…もう、俺はあずささんを無理矢理にでも奪います。 
 あずささん、俺はあずささんがずっと欲しかったんだ。それなのに、あんな事を言って…わからないことを言って… 
 そうですよ?あずささんがいけないんですよ。止めると思いますか?やめてだなんていわれたって、もうやめません、嫌われたって、もう俺はあなたを自分のものにしたいんだ、ずっとそうしたかったんだから!」 
 「き、嫌いだなんて…嫌いですよ、わたしの気持ちをわかってくれてなかったあなたなんて、嫌いです…」 
 「俺だって、俺の気持ちをわかってくれなかったあずささんが嫌いです。だから…だから…!」 

 互いに強く抱き締めあって、求め合う。 
 肌を合わせ、腕を絡めて首筋にキスをして。 
 紅い痕の残りに舌を這わせ、柔らかな手を握り締めて。 

 「んふうっ…はぁっ…あ… 
 ば…ばかなこと言わないで下さい…嫌いだなんて…言わないで下さい…」 
 「言いませんよ…好きです…大好きだ… 
 だから…あずささんが欲しくて、もう、我慢できない…だから、あなたを奪います…」 
 「はい…奪って下さい…奪って…何もかも奪って… 
 あずさ、って呼んで…わたしを奪って…ください…」 

 柔らかくて熱い唇が重ね合わされる。 

 抱き締めたあずさの豊かな左胸を、大きな手が覆ってしまうのと同時に、桃色に染まってしまっている耳の先端を口に含んで、ねぶるようなキスを繰り返す。 
 敏感な耳が吸われる度に、あずさの震えが小刻みになり、次第に身体の熱が高まっていく。 
 彼の舌はあずさの耳たぶからうなじへ、そして首筋へと這わせられていき、鎖骨のくぼみへと舐めるようなキスが続けられる。 
 「はあっ…あ…そこ…っ…」 
 首筋の、皮膚の薄いところを舌が柔らかく舐め、刺激する度に、ベッドに伏されたあずさの指先がぴくり、ぴくりと反応し、彼女の豊かな肢体が時折小刻みに震える。 
 「あずさ、あずさがここ、弱いなんて意外だな…ここを舐められるのが好きなんだ?そうなんだ… 
 美味しいよ、あずさの身体…とてもね…?」 
 「なっ、なっ…何を…何を言うんですか…そんなこと…ちが…あぁっ…!」 
 耳の稜線にそっと這わせられる熱い舌のなぞりを感じると、耳先から電流が伝わっていく。 
 キスが繰り返されるたびに、足先にまで伝わるかのような感覚が彼女の身体を通り抜ける。 
 「何をするって…言いましたよね…あずさのことを、全部奪ってしまうって…?」 
 柔らかくて張りのある胸に触れ、指を沈み込ませるように揉みつづけながら、うなじを舐め続けていた彼が、必死に眼を閉じて恥じらいに耐えているようなあずさの横顔を見つめる。 
 視線を感じた彼女が、恥ずかしさの余りに思わず顔をそむけてしまう。 
 「あずさ…駄目…なんで嫌がるんだい?」 
 首筋にキスを続けていた彼が、つう、と舌を這わせつつ、小首をかしげるように顔をそむけたあずさの細いあごを指先でつまんで。 
 天井を向けさせてしまうと、紅色の彼女の唇が彼によって奪われて、唇を咥えるようなキスが続けられる。 
 あずさの左胸に添えられた彼の手は、鍵盤楽器を奏でるかのようにリズミカルに動き、彼の左手はシーツを掴む彼女の手首をきゅっと握り締める。 
 彼女の少ない自由を奪い取り、柔らかいベッドに押し付けるようにして拘束する。 
 「嫌がったって、止めないよ…あずさ、もう、今だけだっていい…あずさを全部奪ってやる…今だけになったって構わないから…あずさをみんな、奪ってしまうから…」 
 「…っ…あぅ…ふぅふぅふぅ…っ…や…ダメ…そこ…やさしく…っ…ふぅぅぅんっ… 
 んんっ…んうぅぅっ…はぅんっ…」 
 呼吸もままならないほどに続けられたキスのあと、唇と唇が離されると、豊かな胸を上下させて吐息を弾ませる彼女の唇の端から、透明な涎がつう、とひとすじ垂れ落ちる。 
 唇を奪い続けていた彼が、餓えた獣のように彼女の唇の雫を舐め取ると、唇を震わせてはぁはぁと熱い呼吸を繰り返している彼女をいとおしむように見つめる。 
 再びその柔らかな唇を奪い、興奮を隠せないまま、薄物の衣服の上から、次第に荒々しくあずさの胸を揉みしだいてしまう。 
 「んんっ…あずさ…やっぱり…あずさの胸…柔らかくて、気持ちいい…手の平に吸い付いてくるみたいだ… 
 ふふ…でも、そんな当たり前の事言ったら、あずさ、怒るかな…?でも、とても柔らかくて素敵だよ…?」 
 「ああぅ…ダメです…そんな恥ずかしいこと…言わないで…っ…」 
 「何故です…?本当ですよ?それに、俺はあずさの意見なんて聞いてない…俺がそう思うんだから、あずささんはただ、俺に好きなようにされていればいいんですよ…?ね…?」 
 「そんな…ひどいこと言わないで下さい…恥ずかしいです…」 
 「ひどいことなんて言ってない…本当のことだもの…あずさ…ずっと好きだった…ずっと、こうして、あずさを抱きたかった…抱きたかったんだ…」 
 「ああ…わたしも…あなたに…されたかった…」 
 「本当に、ですか…?」 
 「本当です…嘘なんて…嘘なんて言いません…」 
 「じゃあ…やっぱり俺は…あずさを好きにするよ…?」 

 あずさの濡れた黒い瞳を見つめながら、彼が再びキスをする。 
 あずさの瞳が、かりそめにも拒む意思を捨て去る色を見せると、彼女の胸に添えられた手はゆっくりと動き、布地を通して指の間に挟みこまれた胸の先端を柔らかく刺激するように動きながら、胸全体を愛撫する。 
 あずさの胸の先端を、指と布の擦れる感触が刺激すると、甘く切ない声が、途切れ途切れになってピンク色の唇からこぼれ出る。 
 「あうっ…ふうふうぅんっ…胸…いや…そんなにしたら…っ… 
 こすれて…イヤ…おかしくなっちゃう…胸だけなのに…はぁぁぁぁうんっ…っ…!」 
 「あずさ、こういうのが好きなんだ?着ているものの上からのほうがいいんだ?いいんだね?わかるよ? 
 だって、こんなにここがコリコリ硬くなってるもの…挟んで、摘んじゃうよ?柔らかい胸なのに、ここだけはこんなに硬くなって… 
 イヤらしいあずさ…本当はこんな女の人だったんだ…?」 
 「そんな、言わないで、わたしっ…ちが…ああぅぅぅんっ…コリコリしないでっ…ふうううんっ…!」 
 首筋に這わせられていたキスが解かれると、彼の頭はあずさの胸に押し付けられるように密着される。 
 右胸を布地の上から愛撫されながら、左胸には布地の上から柔らかに噛まれて、彼の唾液があずさの薄物に染み込んでいく。 
 布地を通して、あずさのピンク色の乳首がうっすらと透きあがると、それはツンと尖って湿った布地を持ち上げて、彼のキスをねだるように自己主張する。 
 「美味しそうな胸だ…あずさ…本当に胸が感じるんだね…可愛いね…なら、もっと揉んで、キスしてあげるよ?好きなんだろう?あずさ…」   
 そう言うと、彼はあずさの左胸を包み込み、親指とひとさし指で乳首の先端をつまみあげる。 
 右胸の乳首は大きく開けた口に咥え込まれ、尖った乳首は舌先で優しく包み込まれ、そして強く吸われていく。 
 あずさの尖りきった両方の乳首が、こね回すような指の動きと、熱いキスで愛撫されて、敏感な左右の胸の先端が男の思うままになされてしまう。 
 つん、と立った乳首が摘まれて転がされる度に、小刻みな吐息があずさの喉奥から漏れてくる。 
 「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぅんっ…ぁ…う…ああんっ…、あんっ、そんな、胸っ…ばかりっ… 
 ん、あ、あ、あ、あ、う、ぅぅ、ぅんっ、あんっ、だめっ、だめっ、こねちゃダメっ…、あああんっ…!」 
 薄目のままに、熱い吐息を漏らし続けるあずさを見て、くすりと笑った彼が、あずさの耳元で小さく囁く。 
 「胸がいいからって…そこだけだと寂しいよね?あずさ… 
 ここも…もっと可愛がってあげるからね…?」 
 そう言うと、彼はおもむろに肉付きのいい太腿の根元に手を当てて、彼女の熱くなった場所に忍ばせると、柔らかな太腿の奥に密着させるように手の平を当てて、彼女が身に付けた薄布の上に指を伸ばして密着させる。 
 「熱くて…いい香りがするよ…あずさの香りだ…頭がくらくらしそうだ…」 
 「そんな…いやらしいこと言わないで…お願いです…」 
 「素敵だって言ってるのに…イヤなのか?駄目か、あずさ?」 
 「恥ずかしい…です…だから…それだけ…だから…」 
 「止めて欲しいのか? 
 …止めて欲しいだなんて、もし、あずさが言ったって…俺は止めないよ?あずさをこのまま、犯すよ?」 
 「犯すだなんて、そんな…あっ、そんなとこっ、駄目ですっ…触っちゃ…ああんっ…」 
 「触るよ…あずさのここ、指でいじって…触るから… 
 熱いね…とても熱くなってる…凄く熱くなってて、もう、しっとりしちゃってるよ…あずさの下着の上から触ってるのに、中がとろけているのがよくわかるよ…?ここは、触って下さいって言ってるよ…?」 
 節くれだった男性の指が伸ばされて、薄物の下に身に付けている下着の薄い布地の上から、あずさの熱くなっているところに触れられる。 
 指先の、柔らかな腹の部分が、あずさの身体をくすぐるように、撫でるように動いて、あずさの体温を更に深めるように愛撫する。 
 あずさの胎内から滲み出て、布地の下から染み出した粘ついた透明な蜜。 
 それは、添えられて動く指に次第に絡みつき、指先でなぞるだけでもそこが白く泡立ってくるほどに溢れ出る。 
 胸の先を指先で転がされて、柔らかい胸へ食いつくようなキスをされながら、彼女の大事な所にまで愛撫を受けたあずさの身体が、更に吐息を荒げ、小刻みに身体を震わせて、身体の奥から沸き上がるような快感に身を委ねて。 

 「あっ、あっ、あっ、ううんっ、そこっ、触っちゃ…あああんっ…そこ、ダメです、ダメなのっ…胸ぇ…いけません… 
 はぁぁんっ…むね…いっぱい触られて…弄られて…キスされて…きもち…いい…いいのっ…」 
 「あずさ、気持ちいいかい?なら、もっとしてあげるよ?イっていいよ?あずさ?」 
 「きもちいい…っ…とてもいいの…すごくいいのっ…あうっ…そ、そこっ…そこ…ひあぁぁぁんっ…! 
 だめ、いく、いく…っ………!もぅっ…いくっ…ああああっ…!」 
 あずさの身体が波打って反り返る。 
 ベッドに伏せられた手は、シーツを力の限り握り締めて白布に皺を作り、背中を反らせ、身体を一瞬のうちに硬直させるあずさ。 
 全身がぶるぶると小刻みに震えて、髪の先端から爪先にまで渡るような快感に満ちたままのあずさを、彼の腕が力一杯抱き締めて、熱い胸の中で支えて、絶頂の最中の彼女の身体を包み込む。 

 彼の腕の中で、硬直したあずさの身体から、すうっと力が抜けていく。 
 力を失った彼女が、腕も、すらりとした脚からも硬直を解くと、四肢をだらりとさせて、彼に抱かれるままに身を委ねる。 
 「はあぁぁぁぁぁ………ああ………さん…わたし………こんな…」 
 「あずさ…綺麗だよ、とても…。素敵だったよ…? 
 あずさの気持ちよくなった時の顔、とても素敵だった…」 
 「そんな…恥ずかしい…です…」 
 「本当だもの…ね?」 
 「ん…ぅ…ん…」 
 あずさの言葉を遮るようなキスが重ねられる。 
 言葉を奪われるようなキスがされると、あずさの中の、辛うじて残っていたような理性の鎖が、透明な氷が溶けてしまうかのように消え去って、後にはもう、貪欲に人のぬくもりを求めるだけの、熟れた女の心と身体だけが残ってしまう。 
 「もっと…もっとして…もっとしてくれなきゃ…駄目です…」 
 「もちろんだよ…あずさを奪うって言っただろう…?まだ、奪ってないよ?」 
 「奪われちゃってます…もう…わたし…」 
 「もっとだよ…もっと…まだ終わりじゃないよ…?」 

 あずさが身に着けていたものが、次々と剥ぎ取られる。 
 纏っていた薄物も、薄暗い部屋の明かりでもわかる真っ白な下着も、瞬く間に脱がせられて白い身体をさらけ出し、同じ姿になった彼と身体を重ね合わせる。 
 「あずさ…わかるか?俺の胸も、あずさとこんなことをしているから…ドキドキしてるんだ… 
 凄く興奮してる…あずさより、俺のほうが興奮してるよ…?」 
 「嘘です…わたしのほうが…ドキドキ…してます…」 
 あずさの頭を、胸板に押し付けるように抱き締める。 
 髪の毛を手で梳き、櫛流すように愛撫しながら、うなじの所を撫で続ける。 
 「そうかな…?なら、俺が興奮してるの、あずささんにちゃんと教えてあげる…」 
 あずさの手首を掴んだ彼の手が、彼女の手を自分の股間へと導いていく。 
 程なく、熱く硬くなったものに、あずさの柔らかな手の平が触れると、その刺激で更に熱く硬くなるかのように反応して、彼のものがあずさの手の平に擦りつけられる。 
 「あずさの手…しっとりしていて柔らかいね…」 
 「こ…こんなになって…こんなの…」 
 「わかるよね?こんなになってるんだよ?俺が興奮しているの、間違いないよね? 
 あずさが信じてくれないなら…あずさの身体に教えてやるから…」 
 「身体…わたしの…からだ…」 
 あずさの喉が、こくり、と小さな音を立てる。 
 その喉に喰らいつくように彼がキスをすると、あずさに自分のものを触れさせたまま、自分の手をあずさの花弁に触れさせて、太腿まで蜜で濡れさせているところを弄り続ける。 
 湿り気を帯びた呼気が二人を包み、部屋の中に満ちていくと、窓ガラスまでが白く染まり始める。 
 「気持ちいい…あずさの手…そんなにされたら…我慢できなくなる…。ううん、すぐに出てしまうかも…あずさの手を汚してしまうかもしれないな…」 
 あずさの手の平が彼のものを包み込み、指先がしなやかに動いて彼の先端に巻きつくだけで射精してしまいそうだと言わんばかりに、彼があずさの耳元で囁く。 
 囁きながら、あずさのとろけだしている中で指が蠢いて、あずさの肉襞をなぞりあげてかき回す。 
 その指の動きに興奮を掻き立てられたあずさが、湿り気を帯びてきた手の平をしなやかに絡みつかせると、彼のものを夢中のままに刺激する。 

 「あ…硬い…熱くて硬い…こんなになってる…男の人の…」 
 「そうだよ…あずさのせいだから…こんなになってるのは…?」 
 「わたしの…わたしのせい…ですか…?」 
 「うん…あずささんが俺にひどいことをするから、いけないんだ…」 
 あずさの身体の中で、指先が折り曲げられて、天井のざらついた部分を指の腹が擦ると、あずさの身体が痙攣する。 
 柔らかな腹をひくつかせ、脇腹にくぼみを作り、軽く、足先までのけぞるほどに突っ張らせる。 
 「か…そこ…だ…かきまわさないでっ…そ…あぁぁんっ…いい…やだ…おかしくっ…」 
 「あずさ、おかしくなりそう?なっていいよ?ううん、おかしくならなきゃ駄目だよ、あずさ? 
 おかしくなるほど、してあげたいんだから…あずさのエッチな姿、見たいんだ…」 
 「恥ずかしいこと言わないで…」 
 「駄目だよ、ひどいことを言うあずさが悪いんだから…こうだよ?」 
 「やぁぁぁぁんっ…ひぁっ…あ、あ、あ、あ、そ、そこっ…」 
 あずさがまた、軽く達しそうになったその瞬間に、彼の指が奥へと深く差し込まれて、同時に、ぷっくりと丸く膨れ上がった、あずさの敏感な肉芽に親指の腹が触れられて、こね回すような指の動きで責め立てられると―――。 
 「い、いくっ、駄目です、いくっ、気持ちいいっ、いくうっ…ダメなの…いっちゃうっ…!」 
 あずさの頭の中で、星が散って。 
 大きくはじけ、身体から力を失った。 


 あずさが深い暗闇の中から意識を取り戻すと、いつのまにかあずさは身体をベッドにうつ伏せにされていた。 
 彼女がぴくりと身体を震わせ、頭を軽く動かすと、あずさの背中に圧し掛かるように胸板を押し付け、身体越しにあずさの柔らかな肉体を味わっていたかのような彼が、あずさの首筋にかかる長い髪を指先に絡めて手で軽く弄びながら、首筋に時折キスをしている。 
 「あずさ…またあんな可愛い声を出して…あずささんがこんなに可愛らしい人だなんて…。 
 あずさ、思っていたより遥かに素敵だ…そうやって俺のことを夢中にさせる悪い人だけれどね… 
 ずっとずっと夢中だったのに、もっと深みにはまらせて引きずり込むなんて…あずささんは本当に悪い人だ…」 
 「ひどいだなんて…あなたのほうがもっと…ひどいです…わたしをあんなにさせて…乱れさせて…。」 
 つい先ほどのことを思い出すだけで、あずさの頬も身体もこの上なくかあっと熱くなる。 
 「いいじゃないか…今度は、あずさだけじゃなくて、俺も…。 
 あずさを俺のモノにするんだから…」 
 「あ…。」 
 「ほら…あずさ…お尻を上げてごらん…?」 
 うつ伏せになったままのあずさの後から手が伸ばされて、アンダーバストの方から大きな手が当てられて、胸を触られながら抱きかかえられる。 
 それと同時に、あずさの腰のところにも手が回されて、豊満なお尻を天井に突き上げさせられるような格好にされて、膝立ちにさせられる。 
 あずさの太腿の間には、まだ乾ききらないほどにぬめぬめとした透明な露がまとわりつき、女の匂いで彼を煽る。 
 「な、何を…こんな格好…恥ずかしいです…」 
 「魅力的だよ、とても。あずさのこのお尻がとても素敵だ、舐めて、噛み付きたくなりそうだ… 
 でもね…それよりも…先に…こうしてやらないと…。俺の気が済まないからね? 
 あずさ…いくよ…?物凄くよく濡れてるし…あれだけ気持ちよくなったんだし、大丈夫だよね…?」 
 彼があずさの後に回る。 
 両手の指を拡げ、大きなお尻に密着させて抱え、あずさの自由を奪うようにしっかりと掴むと、ぬめぬめとした白蜜で下の唇を輝かせているあずさの花弁に彼のものを押し当てる。 

 「あずさ…」 
 「やあっ、そんな、こんな格好…あっ、あっ、あああっ…!」 
 硬くなったものの先端が、柔らかな下唇にキスをするようにあてがわれて。 
 ぷくっとふくれた柔らかい下唇が、かさばった先端を、巻き込むように包み込んで。 
 あずさの、拒むような言葉とはまるで逆の身体の昂ぶりが、彼のものを喜んで受け入れるように蠢いて、蜜を溢れさせて受け入れていく。 
 「ああああああっ…いっ…入って…はいって…っ…」 
 「んんっ…あずさ…どんどん入っちゃうよ…イヤらしいあずさ…俺のを飲み込んでるよ… 
 ほら…もう半分まで入った…わかる?とっても熱いところに入った… 
 もう…ここまで入ったら…一気に入れて、あずさを最後まで犯すよ…?ほらっ…!」 
 「…あああぁんっ…おくっ…!」 
 彼のものがあずさの奥深くに突き立てられて、根元までが入れられてしまい、あずさの女の部分が硬いものを根元まで咥え込む。 
 肉襞が収縮して蠢き、傘張った彼の先端に絡みつき、太い幹にもまとわりついて、彼のものを熱い蜜とともに受け入れる。 
 根元まで深々と挿入されて、先端があずさの奥底に押し当てられて、ぴったりとあずさの胎内に密着すると、耐えかねたような声をあずさが漏らす。 
 「いた…おおき…すぎ…ま…」 
 「大きくなんかないよ?あずさのここがきつ過ぎるんだ…こんなに締め付けて…気持ちいい… 
 痛い、あずさ?痛いなら、もう少し優しくするからね?」 
 「だ…だいじょうぶ…です…」 
 「そう…ならよかった… 
 でも…駄目だよ、あずさ、そんなに締め付けたら、すぐにあずさの中に出してしまうよ?いいの?」 
 「え…そんな…出すって…そんな…」 
 「ふふ、まあいいか、またそれは後で…ね? 
 今は、あずさをたっぷり犯すんだ…あずさを俺のものにしないと…」 
 そう言うと、彼の手がすっと伸びて、あずさの左手首を掴むと、くいっと引っ張ってあずさの上体を反らせる。 
 右手はあずさのくびれた腰に添えてしっかりと掴み、あずさの身体を逃さないようにすると、梃子のように腰を使い、あずさの柔肉の中に深く入れる。 
 「ほら…ぐっと奥まで入ってる…ぴったりだ、あずさと俺のって…わかるだろう?あずさのここが、吸い付くように俺のに絡んでるんだよ…あずさのヒダヒダが密着してる… 
 それだけじゃないよ…あずさの中が、俺のアレの形に馴染んでるんだよ?いきなり動かしたら痛いよな? 
 だからこのままにしておくから…あずさと繋がったまま、あずさの中を楽しむから…本当に、入れてるだけで気持ちいい…熱くて頭まで痺れそうで…」 
 「わたしの…なか…っ…はいって…っ」 
 奥深くまで入れられた彼の硬いものが、自分の中でその存在を自己主張している。 
 女の大事な部分に深くにまで挿入されて、開発されていない彼女の中で、あずさの膣奥を突き上げるように反り返る。 
 その有様が、まざまざとあずさの脳裏に浮かび上がるように思われて、あずさの下腹が熱くなる。 
 「や…やさしくして…下さい…」 
 「優しくしてるだろう?乱暴になんかしていないよ?ほら、動かないでじっとしててあげる…じっと入れたままにして、あずさのことを感じていたいし…ね? 
 繋がってるんだよ、俺たち…うん…大好きなあずさ、憧れだったあずさと繋がってるんだ…そう思うだけでもう…興奮して…」 
 「つながって…あなたと…」 
 あずさの黒い瞳が、涙ではないもので濡れている。 
 陶然としたような、視点の定まらない眼で、窓ガラスの暗闇の中にうっすらと浮かび上がる、彼に後から犯されている自分の姿を見て、自分の淫らな姿を心の底に刻ませられる。 
 「そうだよ…俺はあずさと一つになれて嬉しい…」 
 「嬉しい…ですか…?」 
 「うん…ずっとこうしたかったから…」 
 「ずっと…本当にですか…?」 
 「そう、ずっとだよ…ずっとずっと…前から…あずさが知らないうちからだよ…俺の気持ちを…」 
 「嘘です…。嘘です、そんなの… 
 だって…だって…わたしのほうが、あなたとこうなりたかったから…ずっとずっと前から、もっといっぱい、あなたとこうなりたかったんです…!」 
 告白。あずさの胸の裡から搾り出された告白。 
 その告白を聴いた彼が、あずさの中に入れたままのものを更に硬くして。 
 背中を小刻みに震わせて。 
 左手はあずさの手首を強く引き、右手があずさの胸に回されて、豊かな胸を包み込むようにして抱きかかえて。 
 彼の胸板が、覆い被さるようにあずさのなめらかな背中に密着して、お互いの体温を共有する。 

 「あずさ…こっちを向いて…?」 
 覆い被さったままの彼が、あずさの耳元でそう囁く。 
 「はい…」 
 長い髪を揺らしながら、彼女が恥ずかしそうに首を後に傾けると、瞬く間にあずさの唇が彼に奪われる。  
 「ん…む…ううん…んんんっ…んくっ、んんっ…」 
 身体中で、繋がっていない部分がないかのように身体を重ねた二人が、唇でも繋がってキスをする。 
 キスを続けながら、あずさの柔らかい胸が彼の手で形を変えさせられる。 
 アンダーバストの方から持ち上げるように手を添えられて、胸全体を大きく円を描くように揉まれて。 
 背後から抱き締めて覆い掴んだ彼女の乳を、大きな手の平を使って包み込みながら柔らかく揉んでいく。 
 胸に小指を巻きつかせ、ひとさし指と中指の間で彼女の小さな乳首を挟み込み、親指で胸の全体を獲物にしてしまうかのように包み込んで、柔らかな感触を楽しみながら揉むように愛撫する。 
 「むね…いい…気持ちいいです…ああんっ…やさしくしてくれて…嬉しい…凄く気持ちいいです…」 
 「胸がいいんだ?こういうのが好きなんだ?あずさは… 
 後から抱き締められて、入れられたまま、胸を触られるのが好き?」 
 「はい…とても…。 
 あなたの胸が温かくて…逞しくて…。大きな手…あったかいです…」 
 「俺も…あずさの柔らかい胸を、こうやって触りたかったよ…」 
 「はい…いっぱい触って下さい…あなたのものですから…」 
 「触るだけじゃないよ…?こっちもね…?」 
 あずさの背中を抱き締めたまま、胸を弄びながら。 
 彼が、ゆっくりと腰を使って、あずさの中を少しずつ、ゆっくりと犯していく。 
 あずさのぬめぬめとした蜜で満たされた胎内は、自分を犯す彼のものを優しく包み込んで受け入れ、奥へ、奥へと誘うように迎え入れる。 
 それと共に、彼の腰の動きに合わせるように、あずさが自分でも豊満な腰を動かして、彼のものをより深く受け入れようとする。 
 「あずさ…んんっ…キスをしても、胸を触っても…あそこも気持ちいい… 
 髪もいい香りがするよ…さらさらとして綺麗な髪だ…」 
 あずさの髪に頬擦りするように、彼が顔を擦りつける。 
 擦り付けながら、髪をかき分けて彼があずさの首筋にキスを続けていくと、瞬く間にあずさの首筋に赤いしるしが付けられる。 
 「どうしよう…あずさ…こんなにあずさに、俺の印、付けてしまったよ… 
 こんなにしたら、明日、どうしようか…見に来てくれる人に、あずさが誰かの物になってしまったことがわかってしまうかもしれないよ…?」 
 「ああっ…そんな…恥ずかしい…」 
 「嫌って言っても、やめたりなんかしないけどね…?」 

 彼の腰の動きは、止まることなく、しかしゆっくりと絶え間なく続けられる。 
 突き入れられるたびに、あずさのお尻がふるんと波打ち、ピンク色に充血した膣肉で咥え込んだ中から蜜が溢れ出て、彼と彼女の太ももを伝ってベッドのシーツに垂れ落ちる。 
 「ふぅっ、ふうんっ、んんっ、あっんっ、んっ、んふっんっ、んっ、ふうんっ、んうんっ!」. 
 甘い、発情した動物がのどを鳴らすような喘ぎ声をあげて、あずさが頭を小刻みに振りながら、自分にゆっくりと突き入れて、抜かれ、そしてまた奥へと入ってくる彼のものを受け止める。 
 彼女の真っ白な背中と彼の胸が触れ合い、汗と汗が混じり合い、肌と肌が馴染み合う。 
 硬くなったものにぴったりと密着したあずさの襞が、愛惜しそうにそれを受け入れて離さず、粘膜と肌がキスをする。 
 触られて全身が脈動し、胸が手に吸いついたかのようにたわんで絡まる。 
 乳を搾られるように愛撫される度に、快感まで絞られるかのような感覚に溺れていく。 
 「あっ、ああっ、あふうっ…ふうんっんっんんんっ…こんな……なのに…きもち…んんんっ、うっ、くうっ、ううううんっ…!」 
 「あずさ…あずさ…俺も気持ちいいよ…」 
 「あうっっ…ふぅーぅ…、うふっ、うううっ…」 

 あずさの中に深く食い込んでくる彼を、甘く柔らかく、それながらもけして離さないかのように咥え込み、彼に身体の総てを委ねて貪られる。 
 これまでに体験したことのないほどの、熱く燃えるような快感と、歓喜に包まれた切ない瞬間。 
 ベッドが激しく軋み、夢心地のなかで二人が蕩けあってひたすらに交わる。 
 彼が動きを続けながら、あずさの髪を手に取り、軽く引くようにしてしまうと、ベッドに半ば伏していたあずさの顔が上へと向けられると、ホテルの窓の外、暗闇のなかにうっすらと浮かび上がる、自分たちの姿が眼に入る。 
 「ほら…あずさ…見てごらん?あそこにあずさのイヤらしい姿が映ってる…。 
 あずさ、俺に後からされて、ほら…んっ…こうやって突いてると…あずさの胸がぷるんって揺れるよ…?」 
 そう言うと、彼はあずさの腰と手首を掴んで、彼女の中に突き入れる速度を速めていく。 
 故意に振動を彼女の身体に伝えるように彼が動くと、あずさの胸がその度に乱れて揺れて、ガラスの中のあずさが喘ぎ狂う。 
 「あずさ…もう…いきそうだ…あずさの中、気持ちよすぎる…いいか、中に出して…」 
 「う…あ…そ…それは…」 
 中に出されるという言葉が、獣の様に交わっていた彼女に、僅かながらに理性を取り戻させる。 
 「なか…そんな…子供…できちゃう…」 
 「ん…駄目かい、あずさ…」 
 「………今は…今は…お願いです…」 
 あずさの身体を抱き締めて、再び背後から唇を奪う。 
 唇が離れて、優しく微笑んだ彼があずさに確かめる。 
 「今は…なのか?いつかは…いいんだな?」 
 「はい…今は…まだ…。 
 ごめん…なさい…」 
 「いいよ…あずさ…。でも、絶対に約束だからな?嘘ついたら、酷いよ?」 
 「はい…あなただって…わたしのこと、飽きて捨てたりしたら…酷いですよ…?」 
 「捨てない…。だから、今日は…別の方法で、あずさの身体に、俺のものだっていう印、つけてしまうからね…?」 
 「え…?」 
 「あずさ…あずさの髪…綺麗だ…。 
 中には出さないから…この綺麗な髪…汚すよ…?」 
 「え…それって…んんっ…」 
 会話を続けながら、彼が再び動いて、あずさをゆっくりと犯す。 
 くびれた腰をひきつけ、粘膜の最奥を持ち上げるように突き上げながら、あずさの耳元で囁き続ける。 
 脈打つ肉棒、はちきれそうなほどに膨れた先端で、あずさの胎内は彼の動きに征服され、とめどなくあふれる愛液が、淫らな音を立てて零れ落ちる。 
 「中に出したらいけないなら…ほら…この、俺の大好きなあずさの髪を、汚すよ…んんっ…」 
 「わ…わたしの…あああんっ…!」 
 あずさにとって、最も女性らしい部分。胸のふくよかさと、長くて綺麗な髪。 
 その一つが、愛しているとは言え、男性に支配されるような扱いを受けることを想像して、あずさの胸が高まっていく。 

 「ほら…あずさ…選んで…ね? 
 中に出されるか、あずさの髪に出されるか、どっちがいい? 
 あずさ…そんな、気持ちよさそうに一人でよがってないで…さっさと選んで… 
 選んで、ちゃんと言わないと、このままあずさの中に出すよ?」 
 悪戯っぽそうな表情をしつつも、あずさの心を嬲るような言葉で選択を迫る。 
 そんな彼に困惑しつつも、再び突き入れられ、胸に、背中に愛撫が始まると、あずさの吐息がまた荒くなる。 
 「んっ!んううっ!だっ、だめっ…い…いいのっ…あああんっ…!」 
 「いいって…中にいいのか?んん?」 
 「ダメ…ダメです…でもいいの…気持ちいいの…おかしくなっちゃう…っ…」 
 「しょうがないひとだな、あずさは…まあ、許してあげるか… 
 それじゃ…髪に出すよ…?いいね…?」 
 「はい…はい…髪に…出してください…」 
 「髪に出して、あずさに俺の匂いを付けてしまうからね…?」 
 「はい…あなたの…匂い…つけて…っ…!」 
 繰り返される彼の言葉に屈服して、身を総て委ねるような心持ちの中で、あずさが口走る。 
 「ん、ん、ん、ん、んんんっ…いくっ、もう、俺もっ…持たないっ…」 
 交し合う声の中、熱い喜びに包まれる二人を、歓喜が中を貫いて。 
 彼らの痙攣する身体に、熱い脈動が突き抜ける。 
 あずさの身体が、跳ねて暴れる。 
 乳首の先端から肉付きのいい脚までがぶるぶると震えて痙攣し、突っ張った手足がぴんと伸びて、そして力を失ってベッドに倒れこむ。 
 それと同時に、あずさの中から引きぬかれた彼のものが、たまらずその瞬間に爆発して。 
 あずさの背中に、肩から流れる黒絹のような髪へと、彼の真っ白な精子が飛び散って、粘ついた白いものがあずさの背中一面に降りかけられる。 
 背中に熱い迸りを感じたあずさが、びくびくと身体を痙攣させて、快感の余韻に浸りきる。 
 硬さを失わないままの彼のものが、あずさの背中に圧し掛かるように倒れ込んだ彼によって、あずさの髪の毛に擦りつけられる。 
 「ふうっ、ふうううっ…あずさ…あずさの髪…汚してしまったよ…? 
 ほら…こうして今度は拭いてしまうから…あずさの髪で、俺のモノについてる、あずさのいやらしい蜜と精子の混じった物をふき取ってしまうから…」 
 「あ…あ…わたしの…かみ…あなたの…匂いで…」 
 「そうだよ…あずさはもう、全身、俺の匂いがつけられたんだよ…? 
 だから、俺の物だよ、あずさはね…?」 
 「は…い…。わたしは…あなたのものです…」 
 キスを交わしながら、抱き合って眼を閉じる。 
 熱い体温が落ち着きを取り戻していくのに従って、二人の意識が遠くなる。 
 「あずさ…」 
 「はい…」 
 「愛しているよ…?」 
 「わたしのほうが…愛してますよ…?」 
 「もう…。 
 意地っ張りさんなあずさだね…?」 
 「あなただって…」 

 二人が同時に笑って、同時に抱き締めあった。 



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